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生産者と地域事業者を地域内でマッチング 地産地消を促して地方活性化を推進

2022年08月15日更新

PickUp記事:地元食材を地元店舗が消費する地産地消マッチングサービスの実証実験を会津若松で【凸版印刷】(FOOD FUN 2022.07.12)

近年、地産地消の推進等で地方を活性化して、持続可能な経済社会を目指す「地方創生」の取り組みが盛んです。

地域内の生産者と事業者のマッチングを促したり、都市部から地方への移住を推し進めたりする手段として、デジタル技術を活用する動きも出てきています。

凸版印刷株式会社は、農産物生産者と飲食店等の事業者をマッチングするプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を開発することで、特定域内の需要と供給情報を可視化、農産物の流通を最適化しようと、今年の7月から、福島県会津若松市とその近隣地域における実証実験に着手し始めました。

同実証実験は、一般社団法人AiCT(アイクト)コンソーシアムによる「食・農業ワーキンググループ」の活動の一環で、生産者と事業者、そして地域が一体となった地産地消の実現推進を目的に行われるものです。

凸版印刷株式会社は、今回の実証実験を通して、2023年度の事業化を目指しています。

そして、2030年度までには、同プラットフォームを卸売市場などの拠点に導入していく予定です。


地産地消を促すマッチングシステムの実証実験 都市と地方の格差縮小目指す

(引用:小田原市公式HP-市の取り組み-デジタル化によるまちづくりの取組-デジタル田園都市国家構想推進交付金に採択されましたより)

日本の生産現場は現在、少子高齢化によって、

 

・国内市場の縮小

・労働力、後継者不足

 

などの課題に直面しています。

 

国内市場の拡大が見込めない中、競合との差別化を図ろうと、各地域の生産者は、農産物のブランド化や加工食品化に取り組んできました。

 

しかし、このような付加価値の高い農産物は大都市へと流通されがちで、産地での流通・供給はかえって減少しています。

 

また、多くの地域でブランド化の動きが広まった結果、ブランドが乱立し、都市部の市場に集中したり、TVなどのメディアで広く知られたりする等で、差別化されなくなってしまい、画一化されていく、いわゆるコモディティ化を生じる弊害も出ているようです。(詳細については、「地域ブランド活用による高付加価値化の取組と今後の展開」https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/200831_R02brand1.pdf

 

加えて、産地である地方から都市部までの流通コストをあらかじめ見込んだ、本来より低い価格で取引される場合があり、地域ブランドの農産物を生産しているのに、なかなか高収益化につながらないような生産者もいました。

 

このような状況を打開するには、都市部ではなく地域内で農産物を流通することが有効と思われます。

 

ところが、地方の流通はデジタル化が進んでおらず、電話やFAXなどのアナログが主流です。そのため、実際の供給と需要の定量的把握が困難で、需要はあるけれど、地元の方がかえって農産物を手に入れにくい、そんなちぐはぐな状況に陥っているのです。

 

このような、いわゆる都市部と地方の格差は、常々問題視されており、それもあって、地方内の需要と供給をデジタル技術でマッチングするオンラインプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を凸版印刷株式会社が開発、実証実験することで、

 

・地域内の供給情報と需要情報の可視化

・農産物流通の最適化

 

への着手を試みています。

 

この取り組みは、総務省による「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を受けて実施されるものです。

 

国は以前から、先ほど挙げたような地方と都市の格差解消を目的に、地方創生を推進してきました。

 

地方創生は、少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服、将来にわたる成長力を地方が確保することを目指しています。

 

そのためには、東京圏などの大都市への過度の人口集中の是正や、人々が安心して暮らせるような、持続可能なまちづくりと地域活性化による住みよい地域環境づくりへの取り組みが必要です。(詳細については、https://lfb.mof.go.jp/hokuriku/soumu/pagehokurikuhp013000091.html

 

また、地方創生を進めるに当たって、近年注目されているSDGsに沿うことで、持続可能なまちづくりや地域活性化への取り組みをさらに充実・深化させられるとして、国は現在、SDGsを原動力とした地方創生(地方創生SDGs)を提唱しています。(詳細については、https://future-city.go.jp/sdgs/

 

さらに、地方創生に向けて、デジタル技術を活用した地域課題解決への取り組みを推進する助成制度を国で設置していますが、今回の実証実験は、そのための「デジタル田園都市国家構想推進交付金」に採択されたものです。(詳細については、https://www.soumu.go.jp/main_content/000793202.pdf および https://www.chisou.go.jp/sousei/about/mirai/pdf/digitaldenenseidoyoukou.pdf

 

本交付金の要件のひとつには、「デジタルを活用して地域の課題解決や魅力向上に取り組む」ことが挙げられており、国は現在、デジタル技術を活用して、地域の個性を生かしながら、地方を活性化し、持続可能な経済社会を目指す「デジタル田園都市国家構想」を推進しています。

 

このように、地方からデジタルの実装を進めていくことが喫緊との認識を持つ国は、本交付金を通じて、

 

・地方からデジタルの実装を進める

・「転職なき移住」を可能にして、地方への新たな人の流れを創出する

 

などで、地方と都市の差を縮めていく地方創生につながる活動をさらに促進しようとしているのです。

デジタル技術で地産地消や食品ロス削減等を推進 地方企業のマッチング取り組み