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東京諸島 珍しい魚の流通を通した、生き残りを賭けた離島の魅力の発信!

2019年05月14日更新

 三宅島や八丈島、小笠原諸島といった名前は、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか?しかし、実際に訪れたことがある方は多くないと思います。これらの島々は東京諸島と呼ばれ、ご多分に漏れず人口減少に喘いでいます。日本全国の一般的な過疎の原因に加え、島ならではの問題も存在ます。島国日本において、現在の有人島を無人島に出来ない国の事情も存在します。それでは、無人島に出来ない国の事情とは一体何でしょうか?また、人口減少に対する行政や民間の取り組みとはー。

PickUp記事:「東京諸島の魚味わう 都内4店舗でフェア」(産経新聞2019.02.15)

離島はこのままいくと・・・?

 今回取り上げるのは、東京諸島。東京都島しょ部とも呼ばれ、伊豆諸島の9島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島)、小笠原諸島の2島(父島、母島)の計11島のことをいいます。

 東京諸島においても少子高齢化、過疎の問題は例外ではなく、人口が減り続けています。

 そして、東京諸島で消費される野菜などを生産する担い手も減り続けており、島外から高い輸送費をかけて食品を運ばなければならないため、食費が高騰し、生活を圧迫し始めています。そのことが人口の社会減を加速させています。

 このまま人口が減り続ければ、無人島にもなりかねません。それは様々な問題になりえます。

東京諸島11

(引用:TOKYO ELEVEN ISLANDS HP

美味しいけど流通しない魚 

そんな東京諸島の課題を解決しようと新たな取り組みが行われつつあります。その一つが今回取り上げた事例です。

東京諸島の一つ三宅島は、多種多様な魚種に恵まれつつも、水揚げの8割がキンメダイで、その他の魚種は知名度が低く値がつきにくいため、一般には流通せず、ほとんどが島内で消費されてきました。また、三宅島周辺海域は、時化が多く、年間3分の1ほどしか出航できません。そのことで、漁師の収入が安定せず、担い手不足にも繋がっていました。

今回の取り組みは、キンメダイ以外の東京諸島の魚の認知度向上と消費拡大を目指し、漁師の収入の向上を図る点に目的があります。

また、東京諸島の食の魅力が認知されることにより、実際に東京諸島に観光として足を運ぶ客が増えることも期待されます。となれば、島に活気が生まれ、客のお金が落ちることにもなります。

東京諸島の魚

(引用:フーディソンのプレスリリース)

世界遺産の農作物を六次産業化

離島の課題解決の取り組みとしては、世界遺産である小笠原諸島で農業の六次産業化を目指すものが挙げられます。

小笠原諸島は、人口が2,500人ほどしかおらず、農作物に関してこれまで地産地消で賄ってきましたが、農業の担い手減少に伴い、物価の高い食品を島外から仕入れなければなりません。また、小笠原諸島は、住居費も東京都内と変わらないほど高い状況であるため、食費の増加は生活を圧迫することになります。

そこで、まずは農業の担い手を増やすべく、担い手減少の原因の一つである収入の不安定さを解決するために稼げる農業を目指し、パッションフルーツやレモン、コーヒーなどの特産物を主軸とし、六次産業化を行う動きがあります。

農業の収益向上を図れば、離農を防ぐことができ、人口減少の歯止めにもなり得ます。また、農業の担い手が増えれば、特産品に限らず自然と農作物の種目化にも繋がり、離島の食の地産地消にも寄与するでしょう。

食の六次産業化によって、小笠原諸島の魅力を島外に発信することにもなり、人口の社会減の歯止めとなるのみならず、移住者を呼び込むきっかけになることも期待されます。

 危機感を抱いた国の支援

人口減少・地方創生の課題は、何も離島に限ったことではありません。日本全国にその課題は存在します。ですが、島国日本にとって離島は特別な意味を持ちます。それは、海に囲まれてはいますが、離島が他国との国境であることです。

もし仮に離島の人口減少が進み、やがて無人島化してしまうようなことになれば、他国によって離島が侵略・実効支配される事態にもなりかねません。そして、他国が領土拡大路線を歩み海洋活動を活発にさせている現状も存在しています。

そのような事態に政府は危機感を募らせ、対策に乗り出しています。具体的には、離島の社会生活維持の為に交付金が準備され、移動コスト・物資輸送コストの低廉化、雇用機会の拡充、滞在型観光の促進の為に役立てられています。

その効果か、人口減少数が過去4年の水準と比較して半減、新規雇用数が増加、観光客等交流人口が拡大となっています。

地方自治体と民間の動き

国の対策に合わせ、地方自治体や民間企業の動きも活発になっています。

東京都では、東京の島々が持つ素晴らしい景観や特産品、文化などを、これまで以上に有効活用して更なる魅力拡大を図ることを目的に、2018年から「東京宝島事業」を開始。「東京宝島ブランド」を構築し、磨き上げ、広く発信し、島の高付加価値を実現しようとしています。

また、島根県海士町の観光協会と北海道・利尻島のNPO法人 利尻ふる里・島づくりセンターが運営している「離島キッチン」という取り組みもあります。離島キッチンは、全国の離島の食をその背景にある「文化」「歴史」「物語」と一緒に楽しめるレストランです。こういった切り口の取り組みは、短期間のフェアなどで行われることも多いですが、離島キッチンは常設で営業されるのが特徴です。それは、実店舗で直接離島の食材に触れてもらう機会を多く作るのが狙いだからです。立地的にも東京の日本橋や神楽坂など目立つエリアに開店し、ブランドイメージを作ることにも配慮しています。

この他にも民間では、「離島百貨店」という離島の現地情報や新商品情報などをまとめるポータルサイトの立ち上げ準備も進んでいます。

離島キッチン 日本橋店              離島キッチン 神楽坂店

(引用:離島キッチンHP

情報整理能力が試される

どの事例もそうですが、メディアに取り上げられた内容や記事は既に情報が整理されており、読めば当たり前のことしか書いてないようにも思えてしまいます。

しかし、実際に課題解決に取り組む人は、現地に赴き、何が課題で、何が特徴か、何がムダになっていて何に価値が存在するのか、1つ1つ身を持って体験しながら、情報を整理していかなければなりません。そこで試されるのは、センスとも言えます。

そのセンスとは、客観的認知能力であったり、自分の中の哲学・ものさし、モノに触れたときの感受性ではないでしょうか。

多くの取り組みに接すれば、自分の中の哲学やものさしが形成され、目の前にある対象が客観的にどの程度のものなのか判断できる客観的認知能力が磨かれます。一方で、モノに触れたときの感動が無ければ、そこに価値を見出すことはできないのではないでしょうか。

BtoBサイトの立ち上げやレストランでのフェアの開催は、一見すると平凡な取り組みにも思えます。ですが、その裏にある筋の通った考え方が、成功と失敗を分ける分水嶺ではないでしょうか。