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企業等が共同で取り組む食品ロス削減 地域活性化につながる事例も

2022年12月26日更新

PickUp記事:市谷のDNPカフェで冷凍ケーキ販売開始 ケーキの食品ロス減らす(市ヶ谷経済新聞2022.11.18)

近年、世界的に問題視されている食品ロスの削減に対して、企業等が共同で取り組む事例が認められています。

今年の10月、食品ロス削減を目的に、「DNPプラザ」内の「問いカフェ」にて、株式会社Cake.jp(ケーキジェイピー)の冷凍ケーキ「10Mineets(テンミニーツ)」の提供が開始されました。

大日本印刷株式会社が運営する同プラザでは、社会課題の解決などにつながる価値創出に取り組んでおり、その一環として、同社グループ会社の株式会社アットテーブルを含めた3社が共同。

低い廃棄率、冷蔵ケーキより長い賞味期限による廃棄の低リスク化、そして10分で解凍・提供できる手軽さが特徴の同商品の販売を通じて、食品ロス削減やカフェでの作業負担軽減などが可能であるとして、SDGs達成への貢献が期待されています。

3社共同の食品ロス削減活動 10分で解凍可能な冷凍ケーキをカフェで

(引用:農林水産省令和4年8月時点版「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」P.9より)

国際的に注目されている食品ロスについては、先進国を中心にさまざまな削減策が講じられています。

今年の10月、食品ロスを考えるきっかけにと、次の3社が共同で、カフェにおける冷凍ケーキの提供に着手しました。

・大日本印刷株式会社(以下、DNP)

・株式会社Cake.jp(以下、Cake.jp)

・株式会社アットテーブル(以下、アットテーブル)

具体的には、DNPが運営する「DNPプラザ」内の「問いカフェ」の新メニューとして、

・完全受注生産で廃棄ロスが少ない

・冷蔵ケーキよりも賞味期限が長い

などの特徴を持つ、Cake.jpの冷凍ケーキ「10Mineets」を導入・販売するものです。(商品の詳細については、https://lp.cake.jp/10mineets/?_gl=1*sqc7bx*_ga*MTg2NTI3MDg5NC4xNjY5NzczMjEx*_ga_09LYYZ48NP*MTY3MDIyMzMzMS44LjEuMTY3MDIyMzM0My4wLjAuMA

令和2年度における国内の事業系食品ロス(可食部)の発生量は、推計275万トンとされていますが、その7割以上が、食品製造業(44%)と外食産業(29%)によるものです。

また、同カフェでは以前から、食品ロス削減以外にも、以下のようなサステイナブルな取り組みを進めてきました。(詳細については、https://www.attable.co.jp/news/%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%81%e3%83%a1%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e6%96%b0%e7%99%ba%e5%a3%b2%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b-2/

・カフェ内の使用済みプラスチックカップの回収と再利用

カフェのトレイやコースターなどの製造に再利用。

・カフェで使用する陶器製カップの導入や、マイタンブラーでの飲料提供

プラスチックごみ削減に貢献。

そして今回、上記に加えて、3社共同による食品ロス削減への取り組みが開始された訳ですが、3社は今後、次のようなそれぞれの強みとノウハウを活かし、社会の課題解決につながるような新しい商品の開発・販売も行っていくそうです。

【DNP】

食に関する製品・サービスと発信の場

【アットテーブル】

企画・マーケティング

【Cake.jp】

商品(スイーツ)の企画・販売

このように、企業が連携して互いの強みを活かすことで、廃棄プラスチックや食品ロスの削減など、国際的に注目されている社会問題への取り組みが、より拡大・推進されることが期待されます。

他企業との共同商品開発や冷凍技術導入支援サービスの活用等で食品ロス削減を促進

(引用:独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21公式HP-特集・事例-「地域連携で佐賀の「食」を全国・海外に【佐賀冷凍食品株式会社(佐賀県小城市)代表取締役社長・古賀正弘氏】」より「佐賀牛を使った『レンジDEステーキ』の盛付け例」

コロナ禍等の時代の変化もあって、

・飲食店などの外食産業の低迷

・通信販売の利用増加

など経済活動の変化が伝えられています。

実際、経済産業省の分析からは、以下のような傾向が読み取れます。(詳細については、経済産業省HP-統計-経済解析室-ひと言解説-「お手軽・便利・絶品で需要が拡大;冷凍食品の動向」https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20220221hitokoto.html

・コロナ禍以降、飲食店および飲食サービス業の経済指数は大きく低下

・業務用を含め、「冷凍調理食品」の国内生産が増加

外食産業が低迷する一方、冷凍食品の生産や個人消費は増えており、コロナ禍の影響から外食産業由来の食品ロス増加などが懸念される中、食品冷凍技術が、その解決の一助となる可能性もありそうです。

ただ、「冷凍調理食品」の製造・出荷は、比較的規模の大きな企業に集約されているとの分析結果もあり、金銭面や人材面等の要因で、中小企業にとって、冷凍設備等の新たな技術導入は、容易ではないことが示唆されます。

このように、冷凍技術は食品ロス削減に役立つものの、導入が難しい側面がある訳ですが、それに対して、

・冷凍技術の導入支援

・自社の技術等を提供、共同による商品開発

などのサービスを行う民間企業が存在しています。

<企業例>

デイブレイク株式会社

(同社運営サイト「春夏秋凍」:https://shunkashutou.com/

食品冷凍技術(設備)の導入支援で、

・商品ストックの長期保存化

廃棄や輸送にかかるコストを軽減。

・鮮度の低下等で商品価値を失っている廃棄食材の活用

商品化や全国市場流通化により収益を増加。

など、食品ロス削減などにつながるメリットを顧客に提供するほか、以下のようなサービスを実施。

・凍結テスト

より適切な急速冷凍機の提案。

・設備導入にかかる補助金支援サービス

急速冷凍機や冷凍保管庫などの導入に利用できる補助金の申請書類作成~申請までを支援。

佐賀冷凍食品株式会社

https://kanesue-saga.jp/

(詳細については、独立行政法人中小企業基盤整備機構「J-Net21」-特集・事例-中小企業応援士に聞く-地域連携で佐賀の「食」を全国・海外に【佐賀冷凍食品株式会社(佐賀県小城市)代表取締役社長・古賀正弘氏】:https://j-net21.smrj.go.jp/special/supporter/20210927.html

「おいしい、地元食材、安心」をテーマにした自社製品「かねすえ」ブランドや、県内農業生産者やシェフと連携した商品開発など、付加価値の高い商品づくりを実施。

例)地元の飲食店と共同で冷凍商品を開発

外食需要の減少によって苦境に立たされている飲食店の味を自宅でも楽しめるよう、宅配冷凍商品を共同で開発。

自社単独での技術導入や商品開発が難しい場合でも、上記のような支援サービスの利用や、他の企業との共同によって、食品ロス削減をさらに推進できるほか、地元食材を用いて付加価値の高い商品を開発するなど、地域活性化につながる活動が可能となるかもしれません。