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規格外農産物とセットでプレゼント 食品ロス削減でSDGsにも貢献

2022年06月27日更新

PickUp記事:規格外キャベツでお好み焼セット ロス削減、生産者支援に ブルドックソース(食品新聞2022.05.30)

近年注目されているSDGsにつながることから、食品ロス削減に積極的な企業が多く存在しています。

自社での食品廃棄を減らすほか、市場に出回らず処分されている規格外農産物の利用を推進するため、オンラインサイト等での販促や加工食品化などが行われている中、ブルドックソース株式会社(以下、ブルドックソース)と株式会社Day1(以下、Day1)は、生産者支援の一環で買い上げた規格外キャベツのプレゼントキャンペーンを5月から開始しました。

今回買い上げたキャベツは、発育状態や外葉の割れなどの理由で、青果としての出荷が難しく、規格外として廃棄される予定でしたが、本キャンペーンで6,000kg分の食品ロスが削減できる見込みです。(詳細については、https://sustainable.furifuru.com/press-release/1333

ブルドックソースは、自社のSDGs宣言において、「フードロスの削減」を挙げています。(詳細については、https://www.bulldog.co.jp/sdgs/

食品としては何の問題もないものの、見た目などの理由から規格外とされた農産物の廃棄処分は、食品ロス発生原因のひとつとして問題視されてきました。

しかし、食品ロスの要因は、このほかにもたくさん存在しています。

そのため、企業等が取り組む活動もまた、フードバンクや食品廃棄物の堆肥化、賞味期限の延長など、実にさまざまであり、それにともない、食品ロスが関連するSDGsゴールもまた、「飢餓をゼロに」、「つくる責任つかう責任」、「気候変動に具体的な対策を」など、複数に登ります。(詳細については、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_12.html#goal_top

いくつものSDGsにつながる食品ロス削減活動を考えた時、SDGsへの貢献方法を検討する際には、固定概念に捕らわれない柔軟な思考が、より重要となるのかもしれません。

 

規格外キャベツと自社製品をプレゼント 食品ロス削減につなげてSDGsに貢献

(引用:フリフル公式HP‐プレスリリースより)

食品ロスとは、食品としてまだ食べられるのに、さまざまな理由から消費されることなく、捨てられてしまっている食品廃棄物のことを言います。

具体的には、

・生産現場や製造過程で発生する規格外品

・飲食店や家庭での食べ残しや料理過程で発生する調理くず

・スーパーなどの店舗での売れ残り

・購入後、表示期限以内に食べきれない等の理由で廃棄される食品 

などがあります。

このように、食品工場などだけでなく、農産物等の生産現場や食品卸、小売店、一般家庭など、食品が流通するあらゆる過程において、食品ロスは発生しているのです。

このうち、農家などの生産現場で主に問題となるのが、規格外とされた農産物でしょう。

正規品とは異なり、以下のような特徴のある農産物は、「規格外農産物」とされて、正規品のように青果で市場を流通することが難しい場合があります。

・大きさや形が不揃い

・色ムラや変色がある

・外皮などに傷がある など

規格外の農産物は、正規品よりも価値が下がったり、買い手がなかったりなどの理由で、廃棄処分となる場合も多く、結果、生産者に損失を与えるほか、食品ロスにもつながるなどで問題となっていました。

さらに、コロナ禍の影響から利用客の減少した飲食店で、購入済みの食品の行き場がなくなるなどの事態が発生したため、食品ロスを取り巻く状況は、さらに悪化していると予想されます。

近年、国際社会でもっとも注目されている重要課題のひとつは、SDGsと考えられますが、食品ロスの削減は、このSDGsの達成に寄与することが知られているのです。

そのため、食品ロス削減に取り組む企業は増えていますが、その具体的な方法は、次のようにさまざまなものとなっています。

・自社での食品廃棄を減らす

・規格外農産物の販売や加工食品化の推進

・フードバンクや食品ロス削減アプリのようなサービス提供

今回、ブルドックソースとDay1は、主に次の理由で、規格外農産物であるキャベツの買い上げを行ったそうです。(詳細については、https://www.bulldog.co.jp/common/upload/news/20220516.pdf

・生産者支援

・食品ロス削減

買い上げたキャベツは、中心部分に割れが入っているなどで、青果としての出荷が難しく、廃棄される予定でしたが、ブルドックソースの商品と一緒にプレゼントするキャンペーンを展開したことで、食品ロス削減等、次のメリットがあることが考えられるでしょう。

<メリット>

・生産者を支援できる

・食品ロスの削減に貢献できる

・プレゼントキャンペーンを通じて、商品やサービスを知ってもらえる

・食品ロスの啓蒙ができる

まず、規格外のキャベツを有料で買い取っており、生産者の収入になるとともに、廃棄にかかるコストの削減が期待できます。結果、より効果的な生産者支援につながると言えそうです。

さらに、自社商品の原材料等として利用するのではなく、キャベツを青果としてほぼそのままプレゼントしています。

したがって、消費者にとっても視覚的なインパクトの感じられるキャンペーンとなっており、より注目を集められるのではないでしょうか。

また、Day1の運営する食品ロス削減サイト「フリフル」を通じたキャンペーンであるため、プレゼントの送付にわざわざサイトの立ち上げや人手を必要としていない可能性があります。

そのため、特にブルドックソースは、それほどコストをかけずにキャンペーンを実施できるそうです。

そのほかにも、ブルドックソースは、食品ロス削減によるSDGs寄与をアピールして企業イメージを向上させつつ、自社の新商品「Jソース」の販売促進もできており、多くのメリットが得られるものと考えられます。

他方、Day1にとっても、いろいろなメリットがありそうです。

例えば、これまで食品ロスに興味はあっても、きっかけ等が得られずに食品ロス削減に関するサービスを利用してこなかった潜在ユーザーにとって、今回のキャンペーンは、気軽にサービスを試すきっかけになると思われます。

しかも、比較的新しい活動と言える食品ロス削減関連サービス事業と比べて、ブルドックソースの有するブランドは創業から100年以上であり、その知名度のもたらす効果は、かなりのものでしょう。

互いのリソースを活用した2社の今回の取り組みは、生産者支援や食品ロス削減に貢献するだけにとどまらず、両社のビジネスにもかなりのメリットを与えると予想できます。