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商品開発にデータを反映 時代の変化や消費者ニーズを捉えた商品づくり

2022年06月13日更新

PickUp記事:【データ】子どもの食生活の意識と実態調査 農林中金調べ(観光経済新聞2022.05.05)

近年、商品開発やマーケティングに、さまざまな調査データが活用されています。

顧客がどのような商品を欲しがっているのか、アンケートなどで顧客に直接問いかけてデータを収集するほか、国勢調査などの行政機関の公表データで顧客のニーズを探ろうと、企業がさまざまなデータを収集、分析し、商品開発等に利用しているためです。

データから得た顧客の要望を反映したリニューアルはもちろん、顧客の声によってヒット商品が生まれることもあります。

データの重要性が増している中、“食”に関する意識と実態を探る目的で、2004年から毎年、各世代を対象とした調査が、農林中央金庫(以下、農林中金)によって継続されてきました。

今年3月の調査では、東京近郊の小中学生が対象でしたが、これまで行われた調査データとの比較を通じて、子どもの食に対する意識がどのように変化しているのかが、考察されています。

特に、今回のデータは、子どもやその家庭における食生活について、コロナ禍がどのような影響を与えたのか、うかがえるような結果となっていました。

このように、時代の変化等が食生活にどのように影響するのか、データから読み解ける可能性が示唆されています。

コロナ禍のような、予測の難しい現商品開発象が食にもたらす影響を推測し、食に関するニーズ等の変化を把握できれば、消費者に求められる商品を率先して開発したり、ニーズに合致した販売戦略を立てたりすることが可能になるかもしれません。

そのためにも、商品開発やマーケティングにデータを活用することは、今後ますます重要となるのではないでしょうか。

農林中金の「食」に関する調査 データが反映する時代やニーズの変化と商品開発

(引用:総務省統計局‐社会生活基本調査結果からわかること‐両親が子供と一緒に過ごす時間より)

小中学生を対象に、2022年3月に行われた農林中金の調査結果の概要については、以下の通りでした。(詳細については、2022年4月「小学4年生~中学3年生400人に聞く“食事”の実態と“食”とのかかわり」https://www.nochubank.or.jp/efforts/pdf/research_2022_02.pdf参照)

・家の料理で好きなメニューについては、「ハンバーグ」(74 件)が1位

これは、2位の「唐揚げ」(47 件)以下を引き離す結果である。また、カレーは、前回2位であったのが下がり、3位となっていた。

・上記の好きな料理やおかずを作るのは「母親」が90%以上。

この結果は、「父親」(約3%)の約30倍の数字であり、夕食のおかずを作っているのは、主に母親である可能性が高い。また、総務省統計局の調査でも、子どもが一緒に過ごす時間は母親の方が長いが、共働き家庭が増加していることもわかっている。したがって、夕食のおかず向け商品開発については、母親のニーズに合わせた方が、より有効だと予測できる。

・家で毎日夕ごはんを食べる子どもは、9割以上

・「父親」と一緒に食べる子どもの割合は、増加傾向にある

・給食を「みんなで食べると楽しい」が半数以下に減少している(前回58.5%→45.2%)

コロナウイルス感染防止を目的に、在宅勤務が推奨され、会食等の外食や食事中の会話を避けるよう求められることとなった。この結果、夕食を家で食べる父親が増え、おしゃべりのできない給食に楽しい印象を抱きにくいと言った結果が生じたものと思われる。これらから、コロナウイルス感染症が、子どもの食生活に少なからず影響を与えていることがうかがえる。

・手作り以外の食事が出る家庭の割合とその頻度は、ともに増加。(家庭の割合:前回5割以上→6割以上、頻度:前回週1.5回→週1.8回)

冷凍食品や中食など、手作り以外の食事のニーズは、高まり続けていると考えられる。

このような「食」に関係した調査については、食育の考えの広まりなどもあってか、今回の農林中金のアンケート以外も存在しています。

昔と比べて、消費者のニーズはバラエティ豊かとなり、企業にとって、顧客のニーズや市場動向を把握することは、より困難になっているようです。

多様化し、把握の難しいニーズや市場を捉えるためにも、アンケートなどによるデータ収集と分析に努めることで、より具体的なターゲットを対象にしたピンポイントでの商品開発が可能となるのではないでしょうか。

事実、女性視線の意見を取り入れて開発、ヒットした商品事例はいくつもあります。

例えば、今回の調査データや国勢調査等の結果から、

・女性が夕食作りを負担するケースが多い

・一方で、共働きの家庭は増加している

と言ったことが見えており、仕事に家事にと、女性がますます忙しくなっていると予想できます。

そのため、以下を考慮した商品開発を行うことが、今後ますます重要となるでしょう。

・女性をターゲットにした商品開発のニーズは、これからさらに高まること

・食に関する女性のニーズについて、データを通して把握しておくこと

農林中金の調査データを考察 データから見える「食」の今

(引用:総務省統計局‐社会生活基本調査結果からわかること‐家事関連時間の世界の国々との比較より)

商品開発の視点から、2022年3月に農林中金が行った調査データを考察し、一体どのようなことが見えてくるのかについて、詳しく見ていきたいと思います。