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廃棄チーズで有機肥料 JA兵庫南と六甲バターが連携してSDGs貢献

2022年01月24日更新

PickUp記事: JA兵庫南と六甲バターが事業連携 廃棄チーズ活用で発酵肥料製造へ(加古川経済新聞2021.12.21)

兵庫南農業協同組合(以下、JA兵庫南)と六甲バター株式会社(以下、六甲バター)は、SDGsへの取り組みの一環として、廃棄されていたチーズを原料に、有機肥料を開発・製造する連携事業協定を締結しました。

具体的な取り組みとしては、六甲バターの工場から排出される規格外チーズから発酵肥料を製造し、これまで商品にならず廃棄されてきたチーズの再利用と、製造された有機肥料の積極的な普及を行っていく予定です。

廃棄食品の活用はもちろん、有機肥料の製造・普及促進によって、従来の化学肥料主体の農業から、有機肥料を活用した農業への転換が、より容易となり、環境負荷の削減につながるなど、SDGsの考え方に合った取り組みになることが期待されています。

また、六甲バターの塚本浩康社長は、上記のような食品ロスや環境負荷の削減効果だけでなく、地域社会への貢献についても言及しており、今後の動向が気になる連携事業のひとつとなりそうです。

 

廃棄されていたチーズから有機肥料を製造 JAと企業が連携してSDGs貢献目指す

(引用:農業協同組合新聞「規格外チーズを発酵肥料に バター会社と連携しコスト削減 JA兵庫南」2021.12.14

今回の連携事業は、六甲バターの工場から排出される規格外チーズを活用、発酵肥料を製造して農業利用を促す取り組みとなっています。

規格外のチーズは商品にできないため、これまで廃棄されていましたが、このチーズから発酵肥料を製造することで、

・廃棄チーズの再利用が可能

食品ロスのほか、廃棄処理による二酸化炭素排出などを減らせる。

・有機肥料の供給が可能

化学肥料より環境負荷を減らせると期待される有機肥料を製造・普及できる。そもそも日本では肥料の原料の多くを輸入に頼っており、国内の余剰資源から肥料を製造することの持つメリットは大きいと思われる。

など、いろいろな面でのSDGsへの寄与が期待できます。

さらに、上記のようなSDGsだけでなく、本事業による地域貢献への意欲についても触れられていたように、六甲バターは、「イベントや支援事業などを通じて、地域社会に「おいしい」を伝達」するとして、以前から次のような地域貢献活動を展開してきました。

・スポンサーとして、スポーツイベントやチームをサポート

・近隣の学校を対象に、就業体験機会の場を提供

・王子動物園の企業サポーター

・「六甲山Q・B・Bチーズ館」(神戸市立六甲山牧場内)にてチーズに関する展示を実施

このような多様な活動を通じて地域に貢献してきた六甲バターが、今回の事業を展開、廃棄チーズから肥料を製造する動きを本格化させた場合、次のような活動が新たに加わることも予想されそうです。

・廃棄チーズがどのように肥料へと再利用されるのか、学習できる場の提供

・肥料を作るための工場や人手など、新たな雇用の創出

また、廃棄されている有機物資源は、肥料だけでなく、飼料として再利用される場合も多いため、家畜や動物園動物の餌など、動物の飼料として利用することも検討可能でしょう。

したがって、これまで六甲バターが行ってきた地域貢献活動について、新たな取り組みを始めたり、既存の活動を広げたりと、さらなる地域貢献が期待されそうです。

有機肥料でSDGs達成に寄与 JA以外の事例も

(引用:JAグループ公式HP

SDGsに役立つことが期待されている本連携事業ですが、製造される有機肥料が農業に利用されなければ、製造が過剰となって、やがて生産が止まってしまいます。

実際、有機肥料の需要拡大を目的に、野菜での肥効試験について、六甲バターがJAに協力を申し入れたことが今回の協定のきっかけでした。

JAとしても、輸入原料に依存し、結果、化学肥料の価格が高騰している現状を打開するのに、工場から排出されるチーズが、安定的に確保できる有機肥料の原料となる可能性に期待を寄せているようです。