2020年12月14日更新
日本のチーズ市場は堅調な伸びをみせ、国産ナチュラルチーズを製造するチーズ工房の数も、2010年の約150工房から、2017年には300工房を超え、2倍以上に増えています。しかし、TPP11や日EU経済連携協定(EPA)などの影響もあり、グローバルな競争にさらされています。こうした中、北海道に限らず全国で、国産チーズを盛り上げようとする挑戦が始まっており、こうした動きを政府も後押ししています。
PickUp記事:「【第一線から】神戸・西元町駅徒歩2分メルカロードの牛乳店~地域の商店街でチーズの製造・販売に取り組む現場から~」(独立行政法人農畜産業振興機構2020.11.4)
(引用:日本輸入チーズ普及協会)
チーズの消費量は、ピザやグラタンだけでなく、カレーや春巻きに応用されるような食べ方の多様化や、SNSブームでの拡散、食の健康志向の上昇を受け、堅調な伸びをみせています。「ホットペッパーグルメ外食総研」が2019年1月に実施した消費者調査において、9割以上が「チーズが好き」と回答しており、日本の国民の大半が楽しむ代表的な食となりました。
こうしたトレンドを受け、国産ナチュラルチーズを製造するチーズ工房の数も、2010年の約150工房から、2017年には300工房を超え、2倍以上に増えました。チーズ工房は、原料である新鮮な生乳を確保する必要があるため、酪農が盛んな地域やその近郊で営まれていることが多いものの、ニーズの高まりや専門的な知見を持った人材が増えたことから酪農地以外でも地域に密着した工房が誕生しています。
例えば、兵庫県神戸市の「スイミー牛乳店」は、2018年2月に開業されたメルカロード宇治川という商店街の中でチーズとヨーグルトを製造・販売しているチーズ工房です。代表の水門氏は、英国の家族経営のチーズ工房や、北海道内のチーズ工房、貿易商社で経験を積み、ワールド・チーズ・アワードの審査員にも抜擢された経歴を持ちます。
水門氏のように国内外で専門的な知見を獲得した人材が今、各地域でチーズ工房を開業し、チーズが日々の暮らしのますます溶け込む事業を行い始めています。