2020年11月11日更新
日本航空(JAL)の2020年4~6月の国際線旅客数は前年比99%減、新型コロナの影響甚大で国内線も87%減と、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、飛行機を利用した移動は激減しました。こうした中、航空業界は、機内での新型コロナ感染者がわずか44名であることや、機内の空気が1時間に20~30回入れ替わるといった数値を示し、コロナ後の「新しい日常」においても、飛行機が安全な移動手段であることを発表しています。
PickUp記事:「航空機内での新型コロナ感染は44件、世界の搭乗者数12億人に
対して、国際機関がマスク着用で感染リスク低減の見解示す」(トラベルボイス2020.10.10)
(引用:国際航空運送協会(IATA))
国際航空運送協会(IATA)は10月8日、新型コロナウイルスの機内感染事例数について、最新の情報を公表しました。それによると、2020年初頭からこれまで、搭乗者数約12億人に対して、航空旅行に関する感染事例ははわずか44件(確定例、高度疑い例、潜在例を含む)となっていることから、機内での感染確率はかなり低いとの見解を示しています。
IATAのメディカルアドバイザーであるデヴィッド・パウエル博士は次のようにコメントしています。「乗客が機内で新型コロナウイルスに感染するリスクは、非常に低いことが明らかです。航空旅行に関連して感染した可能性がある事例は、乗客 12 億人に対してわずか 44 件でした。2,700 万人に 1件ということになります。この数字が低く見積もりすぎているとして、90%の事例が未報告だとしても、270 万人に 1 件です。極めて安心できる数字だと考えます。さらに、公表事例の大多数は、機内でのマスク着用が浸透する前に発生したものです」
なぜ、飛行機内での新型コロナウイルスに感染した事例が少ないのか、エアバス、ボーイング、エンブラエルといった航空メーカー各社は、それぞれの機体で数値流体力学(Computational Fluid Dynamics: CFD)による検証を実施しました。
それによると、機内の空気は、1時間に20~30回入れ替わり(平均的なオフィスは 1 時間に2~3回、学校は1時間に10~1 回)、HEPAフィルターによって、空気中の細菌やウイルスを99.9%以上除去することなどが確認されています。
そのほかにも、乗客が前を向いて座り、移動することがほとんどないため、対面でのやりとりが制限されることや、 座席の背もたれが物理的障壁となり、空気が前後に流れることを防ぐこと。空気が天井から床へ流れる設計により、前方から後方に流れることが最小化されることも報告されています。